日本には、創業以来何十年と良質のコンテンツを積み上げてきたショップがあります。そう、東京のマジックランドです。マジックランドがこれまで発表してきた中で、埋もれてしまっているコンテンツを新たな視点で切り出し、編集できないか。そう思い今回の企画をオファーしましたが、その裏には一つの思いがありました。

マジックをしていると、自分で新しい手順を作ってみたいと思うときが来るはずです。しかし、新しいものはそう簡単にはできません。とは言えそれもマジックの醍醐味の一つのはず。皆さんのためにも、またマジックの発展のためにもどうにかして皆さんのクリエイティビティを活性化できないか、とずっと思ってきました。

クリエイションをするときにキーワードとなるのは「刺激」です。自分が持っている知識や感性に何らかの刺激が加わることで、新しいものは生まれます。

マジックランドの積み上げたコンテンツには、その刺激を生み出せるものがたくさんあるはずと考えました。そこで我々は一つの視点を設定しました。

その視点とは「素材感」。

マジックを作ろうと思うとき、どうしてもカードやコインに発想が偏ってしまいませんか？しかし本来マジックは世の中に存在するあらゆるものを素材として使えるはず。そしてそのテーマに心を砕いた過去のマジシャンたちも多く存在しています。

今回の書籍は、マジックランドが過去に発行してきた膨大なレクチャーノートの中から、様々な素材を使ったマジックを集めました。そこには名マジシャンたちが発想してきた刺激がいたるところに散りばめられています。

使われる素材は輪ゴム、タバコ、カギやスプーンなどをはじめ、スパゲッティ、スプレー缶、くぎ、マット、塩瓶、お札、ワックス、ティーバッグ、手袋など多岐にわたります。それにちょっと変わったコイン、ちょっと変わったカードの使い方なども収録。